2009年9月18日金曜日

行き過ぎた保護活動と生物多様性の破壊と自然環境の調和

 近年、自然保護や地球環境に関心が高まり、多くの人が海岸・河川清掃等の環境保護・保全活動に参加される中、自然保護や種の保存などと称し、すでに絶滅してしまった“種(絶滅種〔Extinct Species〕)の復活” “絶滅の危機に瀕している種(絶滅危惧種〔Endangered Species〕)の保護”、などという愚かな活動を一部の自然保護団体や自然愛好家が行っている。その行為が、美談として、あるいは、素晴らしいことであるかのように、新聞、雑誌、テレビなどで報道されている。
 そもそも、その地域に生息していた生物が環境の悪化(人間の活動)にともなって絶滅してしまったのだから、絶滅してしまった種を復活させるなどということは、死んでしまった人間を「生き返らす。」と言っているようなものだ。それでは、いったいどこから絶滅してしまった種をつれて来たのだろうか。まさか、「生き返らせた。」と言うのではないだろう。だとすると、どこかの地域で捕獲・採取され、繁殖飼育された種を放流あるいは、放蝶または放虫しているのだろう。(魚類や昆虫に限らず植物においても同様である。)確かに見た目にはどこの地域の種であても、ゲンジボタル〔Luciola cruciata Motschulsky, 1854 〕はゲンジボタルに変わりないのである。ゲンジボタルは、その発光の強さや飛翔の優雅さなどから、日本のホタル類の中でも人目を引きやすい。そのため、観光や自然回復をアピールする目的で、しばしば他地域から人為的に移入されてきた。無論、ゲンジボタルの生息地に「ホタルには変わりないのだ。」と言って、ヘイケボタル〔Luciola lateralis Motschulsky, 1860〕の幼虫を放流することはないであろうが・・・・・・?。
 現段階ではゲンジボタルは種より下位の亜種には分けられてない。しかし、種より下位の分類群の多様性も保護されるべきであることは世界共通の認識となりつつある。実際、1993年に日本が締結した生物多様性条約(Convention on Biological Diversity)第2条には, 「生物多様性」の定義として、種内(within species)多様性も明記されている。この国際条約に基づいて制定された日本の生物多様性基本法(平成20年6月6日施行)第2条も同様である。
 亜種レベルの差異ならば他の亜種との交配が可能であり、「自然を回復させる」との名目で他の場所から生物を持ち込むことは、多様性を失わせて亜種を消滅させることになり種の保全にはマイナスとも言える事態を引き起こす。
 生物の個体はそれぞれある程度の遺伝子を共有する複数個体からなる集団に属し、一つの遺伝子プールを持っている。この集団を繁殖可能集団、デーム、あるいは個体群という。生物種は個体群そのものである場合もあるし、複数の個体群で構成されている場合もある。それぞれの個体群内で生殖が行われ、次世代の個体が生み出される。したがって、ある個体が死んでもその集団は存続するが、その集団に属する全個体が死んだ場合、その集団は消滅する。その場合、近縁であっても異なった集団は別の遺伝子プールを持つ集団であるから、失われた集団と同じものを復元することができない。(ただし、絶滅を回避できても個体が激減している場合はやはり以前と同じ遺伝子プールを復元することはできない)。これが絶滅である。絶滅は不可逆的な現象である。
 ”ホタルの飛び交う里”などと銘打って地域おこしと自然環境保護活動をしているが、その多くは他地域の種を繁殖飼育させ放流しているのだ。(移入)確かに過去にはホタルが飛び交っていただろう。だが、「沢山のホタルが飛び交っていて綺麗だから」というだけで、種の生態系や生息調査などしないで、(日本には40種類以上のホタルがいると言われる。)放流すればわずかに生き残った種と交雑し、遺伝子の撹乱を引き起こし、元々いた天然のゲンジボタルとは進化系統も発光周期も異なる移入ゲンジボタルに入れ替わってしまうのである。
 毎年繰り返し行われる幼虫の放流は、ゲンジボタルが定着し、繁殖できないことを物語っている。あるいは、観光や自然回復をアピールする目的のために定着しないゲンジボタルの放流を繰り返すのだろうか。「自然保護だ。」「種の保存だ。」「自然の回復だ。」など言って、定着しないゲンジボタルの放流を繰り返し、素性の知れないゲンジボタルの幼虫を「環境教育の一環だ。」と、園児や小学生(低学年)に放流させいるのだ。なんとも不思議な光景であり、違和感を憶えるのである。こうした保護・保全活動は人間にととって都合のいい、行き過ぎた自然保護活動である。
 行き過ぎた自然保護活動は、特定の一種のみを増やし、その地域の生態系を破壊するばかりでなく、河川であれば、下流域においてもその影響を及ぼし、広範囲で生態系と生物多様性の崩壊をまねく危険性をはらんでいるのだ。これでは本末転倒である。人間にとって都合の良い自然保護活動などないにひとしいのだ。
 “真の自然保護・種の保存”を言うのであれば、種の生態系や生息状況、環境、生物多様性等の調査行い、特定の種のみを保護・保全するのではなく、生態系そのものを保護・保全しなければならないのである。河川の浄化や自然の回復・水質の浄化だけではなく、親が産卵し、幼虫が蛹化のために上陸する岸辺、休息するための河川周辺の環境まで整備が不可欠であり、また、餌となるカワニナはもちろん、各成長段階に対応した環境が必要である。ホタルが定着したことで河川を含む環境が良くなったと考えるのは、必ずしも十分ではないと言える。たとえばトンボ類であれば、成虫が河川周辺の広い範囲を飛び回り、そこで餌を食べ、種によっては縄張りを作るなどさまざまな行動をする必要があるため、はるかに広い範囲の自然環境を必要とする。狭い範囲の場所のみを保全(保護・保全区域等に指定)したところで、多様な生物が定着し、繁殖するはずがないのである。自然環境はそれほど単純ではなく、人間が頭の中で考えるよりもはるかに複雑なのだ。その複雑な自然環境の調和が保たれてこそ生態系が守られるのだ。それこそが本当の自然保護と言えるのだろう。
 全ての生物は直接的(食物連鎖)あるいは、間接的(死骸や落葉などの分解)に関わり、複雑かつ合理的にその均衡を保っているのである。複雑かつ合理的な均衡が崩れた時、直接的あるいは、間接的にヒトに影響を及ぼすのだ。(すでに、大なり小なり影響を及ぼし始めている。)
 愚かな人間は言う。「生物とヒトは違うのだ。」と、「生物の中でも、ヒトは特別なのだ。」と、・・・・・・。「ヒトは特別なのだから、環境を破壊し、生物を絶滅させても良い。」と言うのであろうか。「ヒトは特別なのだから、特別な能力で特別な何かができる。」と言うのだろうか。ヒトも生物群の中の一種でしかないのだから地球上に生息する生物として、自然環境の調和を今こそ、真剣に考える時なのではないのだろうか。



出典・引用: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ホタル
ゲンジボタル 
ヘイケボタル




2009年9月17日木曜日

ヒレタゴボウ


ヒレタゴボウ Ludwigia decurrens Walter



ヒレタゴボウ(鰭田牛蒡)
別名:アメリカミズキンバイ
学名:Ludwigia decurrens Walter

1) 分 類

   ①クロンキスト体系による分類

      モクレン(被子植物)門 Magnoliophyta
      モクレン(双子葉)綱 Magnoliopsid
      バラ亜綱 Rosidae
      フトモモ目 Myrtales
      アカバナ科 Onagraceae
      チョウジタデ属 Ludwigia L.


*科名は、Arthur Cronquist, ”The Evolution and Classification of Flowering Plants. Second Edition” (1981), The New York Botanical Garden, New York. に基づいています。
*和名は、朝日新聞社編 週刊朝日百科「植物の世界」創刊号別冊付録、「植物用語集+植物分類表」(1994)の「植物分類表」(清水建美監修)p.4 - 6に基づきました。


   ②新エングラー体系による分類

      被子植物門 Angiospermae
      双子葉植物綱 Dicotyledoneae
      古生花被植物亜綱 Archichlamydeae
      フトモモ目 Myrtiflorae
      アカバナカ科 Onagraceae
      チョウジタデ属 Ludwigia L.


*科名は、H. Melchior and E. Werdermann (eds.), ”A. Engler's Syllabus der Pflanzenfamilien. 2Bd., 12 Aufl.” (1964) Verlag Gebrüder Borntraeger, Berlin
*和名は、朝日新聞社編 週刊朝日百科「植物の世界」創刊号別冊付録、「植物用語集+植物分類表」(1994)の「植物分類表」(清水建美監修)p.4 - 6に基づきました

2) 和名・学名の由来

 和名のヒレタゴボウ(鰭田牛蒡)は、タゴボウ(チョウジタデの別名)に似ている(田に生える牛蒡のような根をした植物)が、茎に稜があることから、これを魚のヒレ(鰭)にたとえて付けられた名前。
 学名のLudwigia は、人名 ドイツのライプチヒの植物学教授Christian Gottlieb Ludwig(1709~1773)に因んで付けられた名。種小名のdecurrens は「着点より下に延びた・沿下した」の意味。

3) 特 徴

 水田、休耕田、湿地や溜池畔に生育する1年草。北アメリカ~熱帯アメリカ原産の帰化植物。茎はよく分枝して、高さ100~150cm、無毛で、3~4稜あり、葉の基部はくさび形で稜に沿って流れて、著しい、ひれ(翼)となる。葉は互生し、普通柄がなく、披針形~狭楕円形、長さ5~12cm、幅1.5~3cm、ほぼ全縁で鋭頭、柔らかく光沢があり、しばしば暗紫色をおびる。花は葉腋にまばらに単性。花柄は1-4㎜、花弁は4個、倒卵形で長さ8-12mm、鮮黄色で、直径2.5-3.0cm、散りやすい。萼片は4個、先は鋭く尖り、狭卵形、長さ7~10mmで果時期まで残る。雄蕊8個、葯は、白色花糸は長さ1㎜ほど雌蕊1個で長さ3mm、柱頭は球状。蒴果は明瞭な4稜があり、四角柱状、長さ1~2cm、無毛または微毛がある。種子は長さ約0.4mmで褐色。
 1955年に愛媛県松山市の三津浜で見いだされ、1960年には四国や瀬戸内地方で水田雑草として知られるようになった。現在は関東地方~北部九州地方の湿地に発生し、しばしば水田に侵入する。

4) 分 布
 
  温帯~熱帯 : 関東地方~北部九州地方

5)掲載図鑑とページ番号

 平凡社・日本の野生植物 帰化: 143
 保育社・原色日本植物図鑑 草本2: 44; 帰化: 181
 講談社・Flora of Japan 2c: 224

6) 文献情報(原記載文献など)

Fl. Carol.: 89 (1788); Murata in A. P. G. 16(3): 90 (1956); Sugim. in Yaso 26(3): 4-5 (1960); Osada, Ill. Jap. Alien Pl.: 91, t. 187 (1972); Kadono, Aquat. Pl. Jap.: 132, in nota (1994).

7) 参考文献

 米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(Ylist),
  http://bean.bio.chiba-u.jp/bgplants/ylist_main.html (2009年年9月17日)
 北村四郎・村田源共著 「原色日本植物図鑑・草本編Ⅱ」 保育社(1992)p.44
 永田武正著 「原色日本帰化植物図鑑」 保育社(1992)PLATA 32 p.181
 林弥栄監修 「山渓ハンディ図鑑1 野に咲く花」 山と渓谷社(2003)p.217
 清水矩宏・森田弘彦・廣田伸七共著 「日本帰化植物写真図鑑」 全国農村教育協会 (2002)
p.206-207 p.502
 朝日新聞社編 週刊朝日百科「植物の世界」創刊号別冊付録
   「植物用語集+植物分類表」(1994)の「植物分類表」(清水建美監修)p.4 – 6

8)南伊予における生育地

   1. 愛媛県伊予市宮下字水戸口   27 . Aug . 2009
      33°46′35″N / 132°45′36″E   3次メッシュコード: 5032-5630
      国土地理院 : 1/50,000 松山南部 1/25,000 松山南部

   2. 愛媛県伊予市宮下字於竹川    9 . Spe . 2009
      33°46′39″N / 132°45′31″E   3次メッシュコード: 5032-5630
      国土地理院 : 1/50,000 松山南部 1/25,000 松山南部

   3. 愛媛県伊予市宮下字讃岐屋    16 . Spe . 2009
      33°46′52″N / 132°45′4″E   3次メッシュコード: 5032-5630
      国土地理院 : 1/50,000 松山南部 1/25,000 松山南部




2009年9月7日月曜日

守るべき自然はないと思われていた二次的自然

 白神山地や屋久島の原生自然(Wilderness)は、人為が加わらずに残された貴重な場所として世界自然遺産に登録され、その重要性は広く認知されている。このような場所は国土全体のわずかで、その多くは里地・里山(農村)であり、人為を加えることによって形成された二次的自然(Secondary Nature)が国土の4割を占めている。
 里地・里山(一般的に、主に二次林を里山、それに農地等を含めた地域を里地と呼ぶ場合が多いが、言葉の定義は必ずしも確定しておらず、全てを含む概念として里地・里山と呼ぶ。農業を主体とした都市近郊の集落も含む)は、原生的自然(奥山)と都市地域との中間地域に位置し、集落とそれを取り巻く二次林、(森林が伐採や火災などで破壊されたあと自然再生してできる林。植林は含まない。)それらと混在する農地、溜池、草原等で構成される地域概念で、農林業にともなうさまざまな人間の働きかけ(人為的撹乱)を通じて環境が形成・維持されてきた地域である。このような里地・里山地域は、人間の手を介入させること自体が「あるがままの自然」ではないとみなし、原生自然ではないのだから、そこには守るべき自然などないと思われていた。
 環境省は、平成11年から自然保護協会などに委託し三ヵ年にわたって日本の里地里山の調査を実施し、分析についての中間報告結果を発表した。①絶滅危惧種(メダカ等かつて身近にいた種を含む)が集中して生息する地域の多くは、原生的な自然地域よりむしろ里地・里山地域である。②かつては身近にいた絶滅危惧種(メダカ、ギフチョウ等)及び絶滅危惧種以外の身近な種(トノサマガエル、ノコギリクワガタ等)の生息地域の5割以上が里地里山にある場合が多いこと。など、里地・里山が、生物多様性保全上(絶滅危惧種をはじめとする野生生物の保護上)極めて重要な地域であることが明らかになった。こうした流れの中で、いつしか「農業・農村風景」は多種多様な生物が生息し、人間達にも「潤い」と「やすらぎ」を与えてくれる重要な財産としてその存在が注目され、さまざまな団体が里地・里山の保全活動をしている。



日本の里地里山の調査・分析について(中間報告)
里地里山パンフレット
生きものと共生する地域づくり
都市近郊における農村の絶滅危惧植物と地域住民との関わり




2009年9月1日火曜日

アゼナ


アゼナ Lindernia procumbens (Krock.) Borbás



アゼナ (畔菜・畦菜)
学名: Lindernia procumbens (Krock.) Borbás
1) 分 類

   ①クロンキスト体系による分類
      モクレン(被子植物)門 Magnoliophyta
      モクレン(双子葉)綱 Magnoliopsid
      キク亜綱 Asterdiae
      ゴマノハグサ目 Scrophulariales
      ゴマノハグサ科 Scrophulariaceae
      アゼトウガラシ属 Lindernia All.

*科名は、Arthur Cronquist, ”The Evolution and Classification of Flowering Plants. Second Edition” (1981), The New York Botanical Garden, New York. に基づいています。
*和名は、朝日新聞社編 週刊朝日百科「植物の世界」創刊号別冊付録、「植物用語集+植物分類表」(1994)の「植物分類表」(清水建美監修)p.4 - 6に基づきました。

   ②新エングラー体系による分類

      被子植物門 Angiospermae
      双子葉植物綱 Dicotyledoneae
      合弁花植物亜綱 Sympetalae
      シソ目 Tubiflorae
      ゴマノハグサ科 Scrophulariaceae
      アゼトウガラシ属 Lindernia All.

*科名は、H. Melchior and E. Werdermann (eds.), ”A. Engler's Syllabus der Pflanzenfamilien. 2Bd., 12 Aufl.” (1964) Verlag Gebrüder Borntraeger, Berlin
*和名は、朝日新聞社編 週刊朝日百科「植物の世界」創刊号別冊付録、「植物用語集+植物分類表」(1994)の「植物分類表」(清水建美監修)p.4 - 6に基づきました。

2) 和名・学名の由来

 和名のアゼナ(畔菜・畦菜)は、田圃のアゼに生えるから「アゼナ」
 学名のLindernia(リンデルニア) は、ドイツの医学者で植物学者Franz Balthasar Lindern(1682~
   1755)に因んで付けられた名。種小名のprocumbens は「伏臥した・這った・倒伏形の」の意味。

3) 特 徴

 水田や畦周辺の湿地に生える1年生の水田雑草。稲作伝播とともに定着した史前帰化植物との説が有力である。全体に毛はなく、茎は4角柱で、高さ10-20㎝下部で分枝し、普通直立する。葉は卵型で長さ1.5-3㎝、巾0.5-1.2㎝で、葉柄がなく、3~5本の平行脈が目立ち、全縁で鋸歯はない。表面にやや光沢がある。花は葉腋につき、長い柄があり、萼は5深裂し、長さ3-3.5㎜、花冠は唇形で長さ約6mm。雄蕊4本とも完全で2本は短い。蒴果は球状楕円形で長さ3.5mm、開放花の開花に先立って、閉鎖花を付けることが多い。

4) 分 布 

  温帯~熱帯 : 日本全土 アジア ヨーロッパ

5)掲載図鑑とページ番号

 平凡社・日本の野生植物 草本 3: 105, c.a.e. Philcox
 講談社・Flora of Japan 3a; 337
 至文堂・日本植物誌 1331

6) 文献情報(原記載文献など)

Bekes Vamegye Fl.: 80 (1881); Kitag. in Bull. Bot. Soc. Nagano no. 10: 4 (1977), Neo-Lineam. Fl. Mansh.: 564 (1979); Ivanina in Kharkev., Pl. Vasc. Or. Extr. Soviet. 5: 291 (1991); W.T.Lee, Lineam. Fl. Kor. 1: 993 (1996); D.Y.Hong et al., Fl. China 18: 32 (1998). The same comb. was made by Philcox in Taxon 14: 30 (1965), in Kew Bull. 22: 29, f. 5, 5-8 (1968); Hatus., Fl. Ryukyus: 850, in corrig. (1971), ’procumbe’; T.Yamaz. in J. J. B. 52: 254 (1977). basion.: Anagalloides procumbens Krock., Fl. Siles. 2(1): 398, t. 26 (1790). Type (icon.): t. 26 of Krocker (1790).

7) 参考文献

 米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(Ylist),
  http://bean.bio.chiba-u.jp/bgplants/ylist_main.html(2009年9月1日)
 北村四郎・村田源共著 「原色日本植物図鑑・草本編Ⅰ」 保育社(1992) PLATE 45 p.145-146 f.48;1.s.
 永田武正著 「原色日本帰化植物図鑑」 保育社(1992)PLATA 19 p.102
 林弥栄監修 「山渓ハンディ図鑑1 野に咲く花」 山と渓谷社(2003)p.141
 清水矩宏・森田弘彦・廣田伸七共著 「日本帰化植物写真図鑑」 全国農村教育協会 (2002)
p.294-295
 朝日新聞社編 週刊朝日百科「植物の世界」創刊号別冊付録
   「植物用語集+植物分類表」(1994)の「植物分類表」(清水建美監修)p.4 – 6

8)南伊予における生育地

   1. 愛媛県伊予市宮下字水戸口   16 . Aug . 2009
      33°46′34″N / 132°45′29″E   3次メッシュコード: 5032-5630
      国土地理院 : 1/50,000 松山南部 1/25,000 松山南部

 最も普通に水田で見られる種のひとつだが、宮下の水田では、外来種のタケトアゼナ(Lindernia dubia (L.) Pennell subsp. dubia)の生育が一番多く、次いでアメリカアゼナ(Lindernia dubia (L.) Pennell subsp. major (Pursh) Pennell)であり、在来種のアゼナ (Lindernia procumbens (Krock.) Borbás)の生育は比較的少ない。また、生育地の水田では何れの種も単独での生育は見られず、複数種の混生である。小型のヒメアメリカアゼナ(Lindernia anagallidea (Michx.) Pennell)も帰化しているようだが、宮下では未確認である。

9)アゼナ類の区別

 アゼナ類には、アゼナ(Lindernia procumbens (Krock) Borbas)、アメリカアゼナ(Lindernia dubia (L.) Pennell subsp. major (Pursh) Pennell )、タケトアゼナ(Lindernia dubia (L.) Pennell subsp. dubia ) 、ヒメアメリカアゼナ(Lindernia anagallidea (Michx.) Pennell)がある。このうち、アメリカアゼナとタケトアゼナ、ヒメアメリカアゼナとも北アメリカ原産の帰化種で、アメリカアゼナとタケトアゼナは非常に良く似ているが、葉の基部が細く葉柄状になるのがアメリカアゼナ、葉の基部が丸く葉柄が見られないものがタケトアゼナで、葉の形態で両者を区別することができる。また、ヒメアメリカアゼナは花柄の長さで区別することができる。

  a. 在来種

    アゼナ Lindernia procumbens (Krock.) Borbás
        茎は4角柱。葉は卵状楕円形で5本の平行脈が目立つ。葉は葉柄がなく、全縁(鋸歯がない)。


  
 b. 外来種 ( 帰化種 )
    アメリカアゼナ Lindernia dubia (L.) Pennell subsp. major (Pursh) Pennell
      (Lindernia dubia var. major Pennell)アメリカアゼナのCタイプ(cuneate[くさび状の]の頭文字)
        北アメリカ原産、1936年帰化を確認
        茎は4角柱。葉の基部が葉柄状に細くなる。葉に明瞭な鋸歯がある。





    タケトアゼナ Lindernia dubia (L.) Pennell subsp. dubia
      (Lindernia dubia var. dubia Pennell)アメリカアゼナのRタイプ(round[丸い]の頭文字)
        北アメリカ原産、1936年帰化を確認
        茎は4角柱。葉の基部が丸く葉柄はない。葉に鋸歯があるがやや不明瞭。




     ヒメアメリカアゼナ Lindernia anagallidea (Michx.) Pennell
         北アメリカ原産、1933年帰化を確認
         アメリカアゼナと混同されがちたが、花柄が包葉の1.5~3 倍位長い。


  c. 交雑種
    不明または未発見



雑 記 : 除草抵抗性雑草

 北海道・東北の水田で、除草剤を散布してもある種の広葉雑草が数多く残るという問題が起こっているらしい。最近は一発処理剤と呼ばれる除草剤が広く使われているらしいが、広葉雑草に効く成分としてスルホニルウレア系除草剤(SU剤)と呼ばれる成分が入っていて、このSU剤が効かなくなっているらしい。SU剤の効かない雑草(SU抵抗性雑草)は、外見上は全く同じため、外見だけで判別するのは困難なようで、水田に多数残っているというだけでは、判別できならしい。
 南伊予地区の水稲農家でも、一発処理剤を使用していると聞く。詳しくは分からないが、南伊予地区でもSU抵抗性雑草が発現しても何ら不思議ではない。
 これまでに見つかっているSU剤の効かない雑草が数多く見つかっているのは、アメリカアゼナ、アゼナ、タケトアゼナ、アゼトウガラシなどのアゼトウガラシ属雑草、イヌホタルイ、コナギだそうだ。まだ問題になっていない水田でも、同じ除草剤を毎年使うのは避けた方が良いようだ。

 薬剤抵抗性(やくざいていこうせい)とは生物の集団に薬剤を使用することにより、抵抗性因子が淘汰により蓄積される現象のこと。薬剤耐性とも呼ばれる。

東北農業研究センターHP 雑草の関連情報より引用



東北農業研究センター 雑草の関連情報 
http://tohoku.naro.affrc.go.jp/DB/weed/boujyo.html




生物の多様性に関する条約

 「生物の多様性に関する条約」( Convention on Biological Diversity / CBD、平成5年条約第9号)とは、生物の多様性を「生態系」「種」「遺伝子」の3つのレベルでとらえ、①生物多様性の保全、②生物多様性の構成要素の持続可能な利用、③遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分を目的とする国際条例である。
 「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)」や「ラムサール条約」のように、特定の行為や特定の生息地のみを対象とするのではなく、野生生物保護の枠組みを広げ、地球上の生物の多様性を包括的に保全することが、この条約の目的である。 また、生物多様性の保全だけでなく、「持続可能な利用」を明記していることも特徴の一つである。
 条約加盟国は、生物多様性の保全と持続可能な利用を目的とする国家戦略または国家計画を作成・実行する義務を負う。 また、重要な地域・種の特定とモニタリングを行うことになっている。
さらに、生物多様性の持続可能な利用のための措置として、持続可能な利用の政策への組み込みや、先住民の伝統的な薬法など、利用に関する伝統的・文化的慣行の保護・奨励についても規定されている。



出典・引用: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』生物の多様性に関する条約 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%9F%E7%89%A9%E3%81%AE%E5%A4%9A%E6%A7%98%E6%80%A7%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%9D%A1%E7%B4%84

生物の多様性

環境省へようこそ! 
http://www.env.go.jp/

生物多様性 -Biodiversity-