里地・里山(一般的に、主に二次林を里山、それに農地等を含めた地域を里地と呼ぶ場合が多いが、言葉の定義は必ずしも確定しておらず、全てを含む概念として里地・里山と呼ぶ。農業を主体とした都市近郊の集落も含む)は、原生的自然(奥山)と都市地域との中間地域に位置し、集落とそれを取り巻く二次林、(森林が伐採や火災などで破壊されたあと自然再生してできる林。植林は含まない。)それらと混在する農地、溜池、草原等で構成される地域概念で、農林業にともなうさまざまな人間の働きかけ(人為的撹乱)を通じて環境が形成・維持されてきた地域である。このような里地・里山地域は、人間の手を介入させること自体が「あるがままの自然」ではないとみなし、原生自然ではないのだから、そこには守るべき自然などないと思われていた。
環境省は、平成11年から自然保護協会などに委託し三ヵ年にわたって日本の里地里山の調査を実施し、分析についての中間報告結果を発表した。①絶滅危惧種(メダカ等かつて身近にいた種を含む)が集中して生息する地域の多くは、原生的な自然地域よりむしろ里地・里山地域である。②かつては身近にいた絶滅危惧種(メダカ、ギフチョウ等)及び絶滅危惧種以外の身近な種(トノサマガエル、ノコギリクワガタ等)の生息地域の5割以上が里地里山にある場合が多いこと。など、里地・里山が、生物多様性保全上(絶滅危惧種をはじめとする野生生物の保護上)極めて重要な地域であることが明らかになった。こうした流れの中で、いつしか「農業・農村風景」は多種多様な生物が生息し、人間達にも「潤い」と「やすらぎ」を与えてくれる重要な財産としてその存在が注目され、さまざまな団体が里地・里山の保全活動をしている。
日本の里地里山の調査・分析について(中間報告)
里地里山パンフレット
生きものと共生する地域づくり
都市近郊における農村の絶滅危惧植物と地域住民との関わり
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