アゼナ Lindernia procumbens (Krock.) Borbás
アゼナ (畔菜・畦菜)
アゼナ (畔菜・畦菜)
学名: Lindernia procumbens (Krock.) Borbás
1) 分 類
①クロンキスト体系による分類
モクレン(被子植物)門 Magnoliophyta
モクレン(双子葉)綱 Magnoliopsid
キク亜綱 Asterdiae
ゴマノハグサ目 Scrophulariales
ゴマノハグサ科 Scrophulariaceae
アゼトウガラシ属 Lindernia All.
*科名は、Arthur Cronquist, ”The Evolution and Classification of Flowering Plants. Second Edition” (1981), The New York Botanical Garden, New York. に基づいています。
*科名は、Arthur Cronquist, ”The Evolution and Classification of Flowering Plants. Second Edition” (1981), The New York Botanical Garden, New York. に基づいています。
*和名は、朝日新聞社編 週刊朝日百科「植物の世界」創刊号別冊付録、「植物用語集+植物分類表」(1994)の「植物分類表」(清水建美監修)p.4 - 6に基づきました。
②新エングラー体系による分類
②新エングラー体系による分類
被子植物門 Angiospermae
双子葉植物綱 Dicotyledoneae
合弁花植物亜綱 Sympetalae
シソ目 Tubiflorae
ゴマノハグサ科 Scrophulariaceae
アゼトウガラシ属 Lindernia All.
*科名は、H. Melchior and E. Werdermann (eds.), ”A. Engler's Syllabus der Pflanzenfamilien. 2Bd., 12 Aufl.” (1964) Verlag Gebrüder Borntraeger, Berlin
*和名は、朝日新聞社編 週刊朝日百科「植物の世界」創刊号別冊付録、「植物用語集+植物分類表」(1994)の「植物分類表」(清水建美監修)p.4 - 6に基づきました。
2) 和名・学名の由来
和名のアゼナ(畔菜・畦菜)は、田圃のアゼに生えるから「アゼナ」
学名のLindernia(リンデルニア) は、ドイツの医学者で植物学者Franz Balthasar Lindern(1682~
1755)に因んで付けられた名。種小名のprocumbens は「伏臥した・這った・倒伏形の」の意味。
3) 特 徴
水田や畦周辺の湿地に生える1年生の水田雑草。稲作伝播とともに定着した史前帰化植物との説が有力である。全体に毛はなく、茎は4角柱で、高さ10-20㎝下部で分枝し、普通直立する。葉は卵型で長さ1.5-3㎝、巾0.5-1.2㎝で、葉柄がなく、3~5本の平行脈が目立ち、全縁で鋸歯はない。表面にやや光沢がある。花は葉腋につき、長い柄があり、萼は5深裂し、長さ3-3.5㎜、花冠は唇形で長さ約6mm。雄蕊4本とも完全で2本は短い。蒴果は球状楕円形で長さ3.5mm、開放花の開花に先立って、閉鎖花を付けることが多い。
4) 分 布
温帯~熱帯 : 日本全土 アジア ヨーロッパ
5)掲載図鑑とページ番号
平凡社・日本の野生植物 草本 3: 105, c.a.e. Philcox
講談社・Flora of Japan 3a; 337
至文堂・日本植物誌 1331
6) 文献情報(原記載文献など)
Bekes Vamegye Fl.: 80 (1881); Kitag. in Bull. Bot. Soc. Nagano no. 10: 4 (1977), Neo-Lineam. Fl. Mansh.: 564 (1979); Ivanina in Kharkev., Pl. Vasc. Or. Extr. Soviet. 5: 291 (1991); W.T.Lee, Lineam. Fl. Kor. 1: 993 (1996); D.Y.Hong et al., Fl. China 18: 32 (1998). The same comb. was made by Philcox in Taxon 14: 30 (1965), in Kew Bull. 22: 29, f. 5, 5-8 (1968); Hatus., Fl. Ryukyus: 850, in corrig. (1971), ’procumbe’; T.Yamaz. in J. J. B. 52: 254 (1977). basion.: Anagalloides procumbens Krock., Fl. Siles. 2(1): 398, t. 26 (1790). Type (icon.): t. 26 of Krocker (1790).
7) 参考文献
米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(Ylist),
http://bean.bio.chiba-u.jp/bgplants/ylist_main.html(2009年9月1日)
北村四郎・村田源共著 「原色日本植物図鑑・草本編Ⅰ」 保育社(1992) PLATE 45 p.145-146 f.48;1.s.
永田武正著 「原色日本帰化植物図鑑」 保育社(1992)PLATA 19 p.102
林弥栄監修 「山渓ハンディ図鑑1 野に咲く花」 山と渓谷社(2003)p.141
清水矩宏・森田弘彦・廣田伸七共著 「日本帰化植物写真図鑑」 全国農村教育協会 (2002)
p.294-295
朝日新聞社編 週刊朝日百科「植物の世界」創刊号別冊付録
「植物用語集+植物分類表」(1994)の「植物分類表」(清水建美監修)p.4 – 6
8)南伊予における生育地
1. 愛媛県伊予市宮下字水戸口 16 . Aug . 2009
33°46′34″N / 132°45′29″E 3次メッシュコード: 5032-5630
国土地理院 : 1/50,000 松山南部 1/25,000 松山南部
最も普通に水田で見られる種のひとつだが、宮下の水田では、外来種のタケトアゼナ(Lindernia dubia (L.) Pennell subsp. dubia)の生育が一番多く、次いでアメリカアゼナ(Lindernia dubia (L.) Pennell subsp. major (Pursh) Pennell)であり、在来種のアゼナ (Lindernia procumbens (Krock.) Borbás)の生育は比較的少ない。また、生育地の水田では何れの種も単独での生育は見られず、複数種の混生である。小型のヒメアメリカアゼナ(Lindernia anagallidea (Michx.) Pennell)も帰化しているようだが、宮下では未確認である。
9)アゼナ類の区別
アゼナ類には、アゼナ(Lindernia procumbens (Krock) Borbas)、アメリカアゼナ(Lindernia dubia (L.) Pennell subsp. major (Pursh) Pennell )、タケトアゼナ(Lindernia dubia (L.) Pennell subsp. dubia ) 、ヒメアメリカアゼナ(Lindernia anagallidea (Michx.) Pennell)がある。このうち、アメリカアゼナとタケトアゼナ、ヒメアメリカアゼナとも北アメリカ原産の帰化種で、アメリカアゼナとタケトアゼナは非常に良く似ているが、葉の基部が細く葉柄状になるのがアメリカアゼナ、葉の基部が丸く葉柄が見られないものがタケトアゼナで、葉の形態で両者を区別することができる。また、ヒメアメリカアゼナは花柄の長さで区別することができる。
a. 在来種
アゼナ Lindernia procumbens (Krock.) Borbás
茎は4角柱。葉は卵状楕円形で5本の平行脈が目立つ。葉は葉柄がなく、全縁(鋸歯がない)。
b. 外来種 ( 帰化種 )
アメリカアゼナ Lindernia dubia (L.) Pennell subsp. major (Pursh) Pennell
(Lindernia dubia var. major Pennell)アメリカアゼナのCタイプ(cuneate[くさび状の]の頭文字)
北アメリカ原産、1936年帰化を確認
茎は4角柱。葉の基部が葉柄状に細くなる。葉に明瞭な鋸歯がある。タケトアゼナ Lindernia dubia (L.) Pennell subsp. dubia
(Lindernia dubia var. dubia Pennell)アメリカアゼナのRタイプ(round[丸い]の頭文字)
北アメリカ原産、1936年帰化を確認
茎は4角柱。葉の基部が丸く葉柄はない。葉に鋸歯があるがやや不明瞭。
ヒメアメリカアゼナ Lindernia anagallidea (Michx.) Pennell
北アメリカ原産、1933年帰化を確認
アメリカアゼナと混同されがちたが、花柄が包葉の1.5~3 倍位長い。
c. 交雑種
不明または未発見
雑 記 : 除草抵抗性雑草
北海道・東北の水田で、除草剤を散布してもある種の広葉雑草が数多く残るという問題が起こっているらしい。最近は一発処理剤と呼ばれる除草剤が広く使われているらしいが、広葉雑草に効く成分としてスルホニルウレア系除草剤(SU剤)と呼ばれる成分が入っていて、このSU剤が効かなくなっているらしい。SU剤の効かない雑草(SU抵抗性雑草)は、外見上は全く同じため、外見だけで判別するのは困難なようで、水田に多数残っているというだけでは、判別できならしい。
南伊予地区の水稲農家でも、一発処理剤を使用していると聞く。詳しくは分からないが、南伊予地区でもSU抵抗性雑草が発現しても何ら不思議ではない。
これまでに見つかっているSU剤の効かない雑草が数多く見つかっているのは、アメリカアゼナ、アゼナ、タケトアゼナ、アゼトウガラシなどのアゼトウガラシ属雑草、イヌホタルイ、コナギだそうだ。まだ問題になっていない水田でも、同じ除草剤を毎年使うのは避けた方が良いようだ。
薬剤抵抗性(やくざいていこうせい)とは生物の集団に薬剤を使用することにより、抵抗性因子が淘汰により蓄積される現象のこと。薬剤耐性とも呼ばれる。
東北農業研究センターHP 雑草の関連情報より引用
東北農業研究センター 雑草の関連情報
http://tohoku.naro.affrc.go.jp/DB/weed/boujyo.html
http://tohoku.naro.affrc.go.jp/DB/weed/boujyo.html
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