2009年8月30日日曜日

イヌガラシ

イヌガラシ Rorippa indica (L.) Hiern



イヌガラシ (犬芥子)
学名:Rorippa indica (L.) Hiern

1) 分 類

   ①クロンキスト体系による分類

      モクレン(被子植物)門 Magnoliophyta
      モクレン(双子葉)綱 Magnoliopsid
      ビワモドキ亜綱(ディレニア亜綱) Dilleniidae
      フウチョウソウ目Capparales
      アブラナ科 Brassicaceae
      イヌガラシ属 Rorippa Scop.

*科名は、Arthur Cronquist, ”The Evolution and Classification of Flowering Plants. Second Edition” (1981), The New York Botanical Garden, New York. に基づいています。
*和名は、朝日新聞社編 週刊朝日百科「植物の世界」創刊号別冊付録、「植物用語集+植物分類表」(1994)の「植物分類表」(清水建美監修)p.4 - 6に基づきました。

   ②新エングラー体系による分類

      被子植物門 Angiospermae
      双子葉植物綱 Dicotyledoneae
      古生花被植物亜綱 Archichlamydeae
      ケシ目 Papaverales
      アブラナ科 Cruciferae
      イヌガラシ属 Rorippa Scop.

*科名は、H. Melchior and E. Werdermann (eds.), ”A. Engler's Syllabus der Pflanzenfamilien. 2Bd., 12 Aufl.” (1964) Verlag Gebrüder Borntraeger, Berlin
*和名は、朝日新聞社編 週刊朝日百科「植物の世界」創刊号別冊付録、「植物用語集+植物分類表」(1994)の「植物分類表」(清水建美監修)p.4 - 6に基づきました。

2) 和名・学名の由来

 和名のイヌガラシ(犬芥子)は、芥子(カラシナ:芥子菜)に花や葉、果実が似ているけど役に立たないことからイヌという接頭語がついている。カラシに似ているが食べられないまがい物ということのようだが、中国では薬用植物として扱われており、全く役に立たないわけではないようである。
 学名のRorippa(ロリッパ) は、イヌガラシ属の植物対するサクソン語の古名「イヌガラシ属の植物 Rorippen 」が語源。種小名のindica(インディカ) は「インドの」の意味。

3) 特 徴

 湿った道端、水田の畦、休耕田、用水路、溝、河川敷、溜池畔などいたるところで見られる多年草。茎は直立または斜上して高さ30~55cm、無毛、よく分枝する。葉は倒披針形または長楕円状披針形ときに卵形、長さ6~15cm、鈍頭、頭大羽状中裂または歯牙縁、無毛、基部は狭まって葉柄状となり、小さい耳状に茎を抱く。花弁は黄色、狭倒卵形、長さ3~3.5mm。萼片は長楕円形。果実は開出してまっすぐかまたはやや曲がり、円柱形、長さ16~20mm、幅1~1.2mm。果柄は5~7mm。柱頭は0.5~1mm。種子はやや不定な楕円形で長さ0.7mm。

4) 分 布 

  温帯~熱帯 :北海道  本州 四国 九州 朝鮮 中国 印度

5)掲載図鑑とページ番号

  平凡社 「日本の野生植物草本 2 」 p. 136 
  保育社 「原色日本植物図鑑 草本Ⅱ」 p. 184, c.a.e. Hieron. 
  至文堂 「日本植物誌」 p.767, c.a.e. Hochr. 

6) 文献情報(原記載文献など)

Cat. Afr. Pl. Welw. 1: 26 (1896); H.Hara in J. J. B. 30: 197 (1955); Ohwi, Fl. Jap. ed. Engl.: 468 (1965); Hatus., Fl. Ryukyus: 299 (1971); T.S.Liu, Fl. Taiwan 2: 696 (1976); R.L.Guo in T.Y.Cheo et al., FRPS 33: 301, t. 84; 1-3 (1987); Rollins, Crucif. Cont. N. Amer.: 754 & 755 (var. indica) (1993); W.T.Lee, Lineam. Fl. Kor. 1: 418 (1996); T.Y.Zhou (Cheo) et al., Fl. China 8: 133 (2001). basion.: Sisymbrium indicum L., Sp. Pl. ed. 2, 2: 917 (1763). Type (fide Hara 1955): India or. (LINN 836.52)

7) 参考文献

米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(Ylist),
 http://bean.bio.chiba-u.jp/bgplants/ylist_main.html(2009年8月30日)
北村四郎・村田源共著 「原色日本植物図鑑・草本編Ⅱ」 保育社(1992)PLATE 44 p.183-184 
永田武正著 「原色日本帰化植物図鑑」 保育社(1992)p.277-278
林弥栄監修 「山渓ハンディ図鑑1 野に咲く花」 山と渓谷社(2003)p.312-313
朝日新聞社編 週刊朝日百科「植物の世界」創刊号別冊付録
  「植物用語集+植物分類表」(1994)の「植物分類表」(清水建美監修)p.4 – 6

8)南伊予における生育地

   1. 愛媛県伊予市宮下字水戸口   13 . Aug . 2009
      33°46′33″N / 132°45′31″E   3次メッシュコード: 5032-5630
      国土地理院 : 1/50,000 松山南部 1/25,000 松山南部

9)イヌガラシ属 (Rorippa Scop. )の植物

   a. 在来種

      コイヌガラシ Rorippa cantoniensis (Lour.) Ohwi
      イヌガラシ Rorippa indica (L.) Hiern
      ナガミノイヌガラシ Rorippa indica (L.) Hiern f. longicarpa (Koidz.) Kitam.
      アオイヌガラシ Rorippa indica (L.) Hiern var. apetala Hochr.
      コゴメイヌガラシ Rorippa teres (Michx.) Stuckey
      ミギワガラシ Rorippa nikkoensis H.Hara 
      ミチバタガラシ Rorippa dubia (Pers.) H.Hara
      スカシタゴボウ Rorippa palustris (L.) Besser 

   b. 外来種 ( 帰化 )

      サケバミミイヌガラシ Rorippa amphibia (L.) Besser
      ミミイヌガラシ Rorippa austriaca (Crantz) Besser
      マガリミイヌガラシ Rorippa curvisiliqua (Hook.) Bessy ex Britton
      キレハイヌガラシ Rorippa sylvestris (L.) Besser

   c.交雑種

      キレハミミイヌガラシ Rorippa × armoracioies (Tausch) Fuss
          ミミイヌガラシ × キレハイヌガラシ
      ヒメイヌガラシ Rorippa × brachyceras (Honda) Kitam. ex T.Shimizu
          イヌガラシ×スカシタゴボウ




追い討ちをかける

 20世紀の科学技術の進歩は、さまざまな夢を実現し、豊かな生活を手に入れることがでるようになった。そして、大量生産・大量消費という生活様式は、自然環境だけではなく、人々の暮らしまで侵食し続けた。その結果、地球温暖化を引き起こし、オゾン層を破壊し、熱帯雨林を激減させた。地下水の枯渇、砂漠化、酸性雨、塩害、海洋汚染などによって地球規模で生物種の絶滅が加速している。
 南伊予も例外ではなく、その脅威を見てとれる。バケツをひっくり返したような雨の降り方、平均気温の上昇、草木の開花時期・開花期間の変化、南方系の鳥類・昆虫類の目撃など、あらゆる所でゆるやかではあるが確実に進行しているのである。
 飽くなき人類の欲望は、高度な科学技術よって私たちに文化的生活と経済的豊かさ(物質)をもたらしたが、その引き換えに豊かな自然環境と心(精神)の豊かさを失わせる結果となった。
 現代の子どもたちは、豊かな自然環境と素朴な共同体に支えられて成長していったかつての子どもたちとは異なり、極めて人工的な環境で生活することを余儀なくされているのだ。真夜中まで眠らない子ども、長時間TVゲームにはまってしまう子ども、ファーストフードで育つ子ども、TVの残虐シーンに魅せられる子ども、受験地獄、育児放棄、人間らしい触れ合いの希薄な子どもなど、現代の子どもの諸問題の多くは、人工的な成育環境が少なからず影響しているように思う。そのような子どもたちが大人に成った時、その時代はどうなっているのだろうか。自然環境は失われ、人間らしい触れ合いのない極めて人工的な環境の中で無味乾燥な生活を送っているのだろうか。そのような子どもたちの体の成長や心の発達を支えていくためには、従来の子育てや教育の考え方による対応だけでは難しく、特に子どもに生命の仕組みや生態系について考える生物学的な視点は必要不可欠なものと言えるだろう。
 最近、「生物多様性(biodiversity)」という言葉が盛んに使われるようになった。生物多様性とは何か。このままでは人類の生存すら危うくなるのではないか、といった漠然とした不安、危機感から生まれた新しい言葉なのだ。 生物多様性は、遺伝子の多様性、種の多様性、生態系の多様性という3つのレベルで考えるのが一般的である。これに景観の多様性を加える人もいる。自然保護あるいは環境、生態系を論ずる場合、今や「生物多様性」の意味を理解せずには語れない時代になった。
 環境省では、生物多様性センターを設置し、ホームページなどで生物多様性の保全を訴えている。が、しかし、大量生産・大量消費という生活様式(経済的・物質的豊かさ)に侵食された人々は、社会秩序や道義的責任を無視し、大量の産業廃棄物と粗大ゴミを投棄し、「自然にやさしいエネルギー」と言う大義名分の元、渡り鳥の飛行コースに風力発電施設を設置し、「自然保護だ」と言って、他地域の生物個体(メダカやホタルなど)を野外に放ち、「地球環境の保護- CO2の削減」などと言って、その地域の森林生体系を無視した植林をするなど、安易に行われる動植物の移植、移入、このような人間の愚かな行為でますます自然環境は破壊され、生物の多様性も失われていくのだ。そして、行き過ぎた自然環境保護運動により伝統文化までも消滅するのである。



環境省 自然環境局 生物多様性センター http://www.biodic.go.jp/
 


2009年8月29日土曜日

ウマノスズクサ


ウマノスズクサ Aristolochia debilis Siebold et Zucc.



ウマノスズクサ (馬の鈴草)
学名 : Aristolochia debilis Siebold et Zucc.

1) 分 類

   ①クロンキスト体系による分類

      モクレン(被子植物)門 Magnoliophyta
      モクレン(双子葉)綱 Magnoliopsida
      モクレン亜綱 Magnoliidae
      ウマノスズクサ目 Aristolochiales
      ウマノスズクサ科 Aristolochiaceae
      ウマノスズクサ属 Arstolochia

*科名は、Arthur Cronquist, ”The Evolution and Classification of Flowering Plants. Second Edition” (1981), The New York Botanical Garden, New York. に基づいています。
*和名は、朝日新聞社編 週刊朝日百科「植物の世界」創刊号別冊付録、「植物用語集+植物分類表」(1994)の「植物分類表」(清水建美監修)p.4 - 6に基づきました。

    ②新エングラー体系による分類

      被子植物門 Angiospermae
      双子葉植物綱 Dicotyledoneae
      古生花被植物亜綱 Archichlamydeae
      ウマノスズクサ目 Aristolochiales
      ウマノスズクサ科 Aristolochiaceae
      ウマノスズクサ属 Aristolochia

*科名は、H. Melchior and E. Werdermann (eds.), ”A. Engler's Syllabus der Pflanzenfamilien. 2Bd., 12 Aufl.” (1964) Verlag Gebrüder Borntraeger, Berlin
*和名は、朝日新聞社編 週刊朝日百科「植物の世界」創刊号別冊付録、「植物用語集+植物分類表」(1994)の「植物分類表」(清水建美監修)p.4 - 6に基づきました。

2) 和名・学名の由来

 和名のウマノスズクサ(馬の鈴草)は、中国語の名の馬兜鈴(ばとうれい)が由来で、
6に裂開した球形の実の裂片が垂れ下がっている様子が馬の首に掛ける鈴に似ていることから名付けられたらしい。
  学名の Aristolochia は、「最良 aristos」+「出産 locheia」で、曲がった花の形が胎児を、基部の膨らみが子宮を思わせるため、出産を助ける力をもつと考えられたことによるようだ。種小名の debilis は「弱小な、軟弱な」の意味。

3) 特 徴

 川の土手や畑、林縁などに生える多年生のつる植物。全体に無毛で粉白をおび、茎は細く丈夫でよく分岐し長さ1.5mに達し、ほかの草や木にからみつく。葉は互生し、長さ4㎝から7㎝の三角状卵形。基部は心形で両側が耳状にはりだす。7月~9月頃、葉腋にサキソフォンに似た形の紫緑色の花を1個ずつつける。花柄は子房を含めて2~3㎝、花被は基部が球形にふくれ、細長い筒がつづき、ゆるく湾曲し、先端は斜めに切り落としたような形で、やや反り返る。舷部は三角形で先は尖る。長さ3㎝内外、下部内面に毛があり6花柱が合して多肉の短柱となり、周囲に花糸のない葯がつく。蒴果はやや細長い球形で長さ1.5㎝、6裂し、花柄の先端も6裂してぶらさがる。
 
4) 分 布

温帯~暖帯 : 本州(関東地方以西) 四国 九州 沖縄 中国

5)掲載図鑑とページ番号

 平凡社 「日本の野生植物草本 2 」p. 103
 保育社 「原色日本植物図鑑 草本Ⅱ」p. 319, f. 141; 2
 至文堂 「日本植物誌」p.606

6) 文献情報(原記載文献など)

Abh. Akad. Muench. 4(3): 197 (1846); Duch. in DC., Prodr. 15(1): 483 (1864); Miq. in A. M. B. L.-B. 2: 135 (1865); Franch. & Sav., EPJ 1: 420 (1875); Forbes & Hemsl. in J. L. S. B. 26: 361 (1891); Rehder & E.H.Wilson in Sarg., Pl. Wilson. 3: 323 (1921); Hand.-Mazz., Symb. Sin. 7(2): 247 (1931); O.C.Schmidt in Engl. & Prantl, Nat. Pfl.-fam. ed. 2, 16B: 241 (1935); Nemoto, Fl. Jap. Suppl.: 157 (1936); Ohwi, Fl. Jap.: 456 (1953); S.M.Hwang in H.S.Kiu & Y.R.Ling, FRPS 24: 235, t. 56, f. 5-9 (1988); J.S.Ma in A. P. S. 27: 340 (1989).

7) 参考文献

 米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList),
 http://bean.bio.chiba-u.jp/bgplants/ylist_main.html(2009年8月29日).
北村四郎・村田源共著 「原色日本植物図鑑・草本編Ⅱ」 保育社(1992)p.319 PLATE68
林弥栄監修 「山渓ハンディ図鑑1 野に咲く花」 山と渓谷社(2003)p.364
朝日新聞社編 週刊朝日百科「植物の世界」創刊号別冊付録
  「植物用語集+植物分類表」(1994)の「植物分類表」(清水建美監修)p.4 – 6

8)南伊予における生育地

    1. 愛媛県伊予市宮下字本谷   10 . Aug . 2009
       33°46′29″N / 132°45′42″E  3次メッシュコード: 5032-5620
       国土地理院  1/50,000 松山南部  1/25,000 松山南部

9)ウマノスズクサ属(Arstolochia )の植物

     マルバウマノスズクサ Aristolochia contorta Bunge
         分布・生育地: 本州(山形~島根県の日本海側) 林縁  花期: 7~8月
         環境省レッドデータブック: 絶滅危惧IB類(EN)

     ウマノスズクサ Aristolochia debilis Siebold et Zucc.
         分布・生育地: 本州(関東以西)~九州 草地や林縁  花期: 6~8月
         環境省レッドデータブック: 記載なし

     オオバウマノスズクサ Aristolochia kaempferi Willd.
         分布・生育地: 本州(関東以西)~九州 林縁  花期: 5月
         環境省レッドデータブック: 記載なし

     タンザワウマノスズクサ Aristolochia kaempferi Willd. var. tanzawana Kigawa
         分布・生育地: 本州(関東~東海地方)  山地の林縁  花期: 5~6月
         環境省レッドデータブック: 記載なし

     リュウキュウウマノスズクサ Aristolochia liukiuensis Hatus.
         分布・生育地: 奄美大島~沖縄 林縁  花期: 12月~4月?
         環境省レッドデータブック: 記載なし

     アリマウマノスズクサ Aristolochia shimadae Hayata
         分布・生育地: 本州(近畿以西)~沖縄 林縁  花期: 5~6月(沖縄は12~3月)
         環境省レッドデータブック: 記載なし

     コウシュンウマノスズクサ Aristolochia zollingeriana Miq.
         分布・生育地: 沖縄県(宮古諸島)  林縁  花期: 7~9月?
         環境省レッドデータブック: 絶滅危惧II類(VU)




雑 記 : ジャコウアゲハの食草

 ジャコウアゲハ(麝香揚羽:Byasa alcinous alcinous (Klug, 1836)〔Aristlochia debilis Sieb. et Zucc.〕)は南方系の蝶で、幼虫はウマノスズクサ属(Aristolochia sp.)の植物のみを食草としている。繁殖力が強く、また食草を良く食べるため、食草がなくなると共食いをすることもあるらしい。
 ジャコウアゲハの食草であるウマノスズクサ(Aristolochia debilis Siebold et Zucc.)には、フェナンスレン骨格にニトロ基を有する特異な構造もつ植物アルカロイドの一種であるアリストロキア酸(Aristolochic acid)とスギ科の落葉樹セコイアにも含まれるありふれたイノシトール系の化合物セコイトール(Sequoyitol)が含まれいる。
 アリストロキア酸は、ウマノスズクサ属(Aristolochia sp.)の植物には広く含まれる毒素で、人間にとっては腎機能障害を起こす有害な成分で発ガン性があるといわれているが、ウマノスズクサはこの毒素を作ることで昆虫による食害から身を守っている。(植物の多くは、何らかの毒素を生産している。)
 ジャコウアゲハはこの毒素に対する耐性を獲得してうまく利用し、メスは食草中に含まれるアリストロキア酸とセコイトールという二つの物質が混在することを前肢にある多数の針のような毛で、葉の表面に傷をつけて確認してから産卵する。そして、産んだ卵にアリストロキア酸を含むクリームを塗布して外敵から守り、孵化した幼虫は、この卵の殻を食べて効率的に毒素で武装する。幼虫はウマノスズクサをせっせと食べてアリストロキア酸を体内に蓄積し、その毒素で小鳥などの天敵から身を守っているという。




       
 アリストロキア酸Ⅰの化学構造式         セコイトールの化学構造式




フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 ジャコウアゲハ
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%B3%E3%82%A6%E3%82%A2%E3%82%B2%E3%83%8F

黒蝶の戦略 ジャコウアゲハの超能力
http://members.jcom.home.ne.jp/kisono/jakouageha2/jakouageha2.htm

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 アリストロキア酸
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%82%AD%E3%82%A2%E9%85%B8
 



 
雑 記 :ホソオアゲハとジャコウアゲハと環境破壊

 ホソオアゲハ(別名:ホソオチョウ 学名:Sericinus montela (Bremer et Grey, 1852))は、朝鮮半島~中国大陸、沿海州に分布する種で、このチョウはもともと日本には分布しておらず、人為的理由(人間の手によって意図的に行われる放蝶)で分布を広げているのがホソオアゲハである。
 国内では、1978年7月18日に東京都日野市百草園で初めて見つかり、翌年には八王子市で生息が確認された。その後、東京都から山梨県にかけての河川敷で局地的に多産していることが判った。1993年には京都府でも発見され、その後、岐阜県~福岡県にいたる地域で、局地的に記録されており、一部では現在も発生を続けている。1990年代前半まではホソオチョウの全盛期で、一時は多摩川周辺を中心に埼玉県所沢市などで数百匹が見られるといった状態になったという。現在では衰退しているらしいが、京都府周辺はかつての山梨県と同様にかなりの個体数が見られるらしい。
 ホソオチョウの分布が確実なのは山梨県東八代郡中道町周辺の、笛吹川のごく一部と栃木県や茨城県、埼玉県、神奈川県、京都府周辺、(滋賀県、大阪府、兵庫県)さらには宮城県、群馬県、長野県、静岡県、岡山県、山口県、徳島県、福岡県でも生息が確認されている。
 本種はもともと飛翔力の乏しい種類で特にメスは食草であるウマノスズクサの群落からあまり離れることがない。このような種が各地に局所的分布(数ヶ所の狭い範囲の発生)を拡大している背景には意図的な放蝶行為が繰り返されていると思われる。最初、馬鹿な蝶の愛好家が、韓国から違法に持ち込んで飼育したものを放蝶し、更に、その子孫が馬鹿な蝶の愛好家によって捕獲、飼育され、各地で人為的に放蝶されたものと考えられる。何故ゆえにこのようなことをするのであろうか。 「ホソオアゲハは、どことなくはかなげで弱々しくゆったりとした飛び方をし、その姿・色・模様といい何とも優雅な蝶なので、数百匹が飛んでいる様を見たい。」等と放蝶して、野外への定着を試みる馬鹿な蝶の愛好家がいるのだろうか。だが、このような生態系を完全に無視した放蝶は最悪の行為だ。自己満足のために他人の権利を無視し、傷つけるようなものである。
 ホソオアゲハの幼虫はマルバウマノスズクサとウマノスズクサを基本的な食草として利用しており、在来種のジャコウアゲハとの競合が懸念される。オオバウマノスズクサがある場合にはジャコウアゲハはオオバウマノスズクサを利用するが、ウマノスズクサしかない地域では、両者が同じ資源を利用することになり、競合が起こると考えられ、ジャコウアゲハの絶滅という事態を招く可能性もある。また、最近では神奈川県でナガサキアゲハ・アカボシゴマダラという場違いなチョウ(南方系のチョウ)が信じられない勢いで増えているらしい。ナガサキアゲハは自然に北上して棲み付いたようだが、アカボシゴマダラはホソオチョウと同じく人為的に持ち込まれたものだろうと考えられる。外国産のカブトムシやクワガタ、ブラック・バスやブルーギルについても同じで、在来種を絶滅に追いやっていることは否定できない。
 全く関係のない蝶の愛好家や昆虫愛好家の方々が「悪質な蝶マニア・昆虫マニア」などと呼ばれ、後ろ指を指されて肩身の狭い思いをしなくてはならなくなる。更に、「採集=悪いこと、放蝶=良いこと」といった考えが世に広く知れ渡り、ギフチョウやオオムラサキなどの放蝶やホタルの幼虫などの放流がしばしマスコミに美談として報道され、ますます採集者への偏見が見受けられる。(蝶や昆虫に限ったことではないのだが・・・・・)悪質な蝶マニアと呼ばれる卵から幼虫から食草から山菜から根こそぎ持って帰る人や、放虫ゲリラと呼ばれる生態系を無視した人も蝶の愛好家や昆虫愛好家の中にいることは事実であるが、これはほんのごく一部である。また、一部の馬鹿な蝶の愛好家や昆虫愛好家だけではなく、在来種の保護・絶滅危惧種の保護であるということで、ある特定の場所に数多くの在来種一種のみを放蝶・放虫する一部の馬鹿な自然愛好家、自然保護団体などがいることは、生態系と生物多様性を考えたとき、他の生物(特定の一種のみで生態系は成り立っていない。)に多からず影響を及ぼす。(同種あるいは、他種生物との食草等をめぐる競合など→食草などの絶滅→他の域からの食草を移植・他の域の生物を移入=自然保護・絶滅危惧種の保護・絶滅種の復活→人間の自己満足・思い上り→自然環境と生態系の破壊・生物多様性の崩壊→自然破壊=人類の滅亡)
 ある限られた地域の環境の中では、生息できる生物の数が決まっていて、無闇に特定の一種(ギフチョウやオオムラサキなど絶滅危惧種)を放蝶・放虫することは生態系の秩序を乱す破壊行為に過ぎないのである。(悪質な蝶マニア・昆虫マニアとなんら変わりない。)
 在来種(絶滅危惧種)の保護で最も大事なことは、環境を守り保全し絶滅危惧種(辛うじて生き残った種)が自然発生的に繁殖し個体数が増えることが望ましいのだ。環境の保護や保全すらろくにせず、絶滅危惧種だからと勝手な放蝶や放虫・魚類の放流・植物の植栽などは行わないことである。また、絶滅種の復活などといって、他の地域の蝶を放蝶したり、昆虫を放虫したり、他の地域の植物を植栽したりすることは、絶滅種の復活ではないのである。絶滅してしまった種を復活することなどできないのであり、人間の思い上りである。見た目上は絶滅種を復活できたように見えるが、いちど絶滅してしまった地域亜種群を復活させることなどできない。
 自然保護を考えるとき、絶滅危惧種を絶滅させないよう環境を保全し、自然発生的に繁殖し、個体数が増える環境を創ることこそが、真の自然保護いえるだろう。そして、人間も自然界の一生物であるに過ぎないこと、自然界いから多くの恩恵を受けていること、科学技術がいかに進歩・発展しようとも、それらは自然界の摂理と原理の発見とその利用に過ぎないこと知ることである。そして、これ以上、生態系が乱れ、環境が破壊され、人類が自らの手で滅亡の扉を開けることのないように願うのである。



蝶の図鑑に収録している蝶の一覧

環境省 自然環境局 外来生物法

 

南伊予の自然環境と現状


 南伊予は、松山平野(道後平野)の南縁部に広がる北斜面のゆるやかな傾斜地で、標高4m(下三谷 四反地)から403m(行道山)の低地帯(丘陵帯)であり、原生自然(Wilderness1 : 太古の昔から人の手が入らず、遷移が進行した結果、安定的な生態系を形成している自然)の残る地域ではなく、二次的自然(Secondary Nature)である。
 古くは、米作を中心とした純農村であり、1955年(昭和30年)頃には、温州みかん等の柑橘類の栽培が盛んになり、多くの山林を開墾し、みかん畑を造り、水田や畑、水路など農業水利施設を維持管理してきた。農家や土地改良区の仕事の結果生まれた二次的自然環境あり、農業が守り育ててきたこれらの環境には、長い年月を掛けて多種多様な生物が生息するようになり、多種多様な生態系が形成された。(森林生態系、草原生態系、水田生態系、ため池・湖沼生態系、河川生態系など)人が手を加えること(人為的撹乱)で管理・維持されてきた自然環境(人工的であったが、美しい農村の風景であったと思う。)ではあったが、経済の成長と共に多く自然環境が失われ、生息していた生物もその姿を消しつつある。
 近年は、農業従事者の高齢化と農産物の価格低迷により、兼業農家が増え、耕作放棄地の拡大が進んでいる。(農用地全体の13.23 %に及んでいる。)


 耕作放棄地では、人為的撹乱(下草刈りや間伐・田畑の耕作など)が行われなくなったため、二次遷移(すでにあった群落が破壊されて裸地でき、そこから始まる遷移)が進行している。背の高い草がはびこり、落葉樹(アカメガシワ・センダン・ネムノキ等)の侵入が見られ、いずれは森になるかもしれない。「それはそれで良いのではないか。」と言う人もいる。そうかもしれない。しかし、水田や畑という特殊な土地条件が、多種多様な生態系を育んできたことも確だ。そして、美しい景観をも形成してきたのだ。人が手を加え続けることによって維持され、形成された二次的自然(人為が加わることによって、いわば遷移を止めた状態)は、放棄されると二次遷移が進み、二次的自然に特有の動植物が生息できなくなるのである。そして、すでに多くの動植物が絶滅あるいは、絶滅の危機に瀕しているのである。(シロバナタンポポ・ヘビイチゴ・キキョウ・ナデシコ・オミナエシ・フジバカマ・ホタルカズラ・シュンラン・コクラン・ジガバチソウ・ハンミョウ・クロカナブン・アオカナブン・カブトムシ・ミヤマクワガタ・ヒラタクワガタ・マイマイカブリ・ミズスマシ・ゲンジボタル・マツモムシ・モンシロチョウ・アゲハチョウ・カラスアゲハ・ツマグロヒョウモン・ルリタテハ・カタツムリ・アカハライモリ、カラスガイ・タニシ・フナ・メダカ・など等)



2009年8月28日金曜日

南伊予って? 

 南伊予(南伊豫)とは、愛媛県伊予市の東端部に位置する地域の名称であり、1954年(昭和2年)まで愛媛県伊豫郡(現在の愛媛県伊予郡)にあった南伊豫村のことである。
 南伊豫村は、1885年(明治18年)に八倉村(やくら)・宮下村(みやした)・上野村(うえの)・上三谷村(かみみたに)を合併し発足。1888年(明治21)に公布、1889年(明治22年)施行された市町村制(明治の大合併)によって1889年(明治22年)12月15日に下三谷村(しもみたに)を合わせて南伊豫村が成立した。旧村は、大字八倉・大字宮下・大字上野・大字上三谷・大字下三谷となり、南伊豫村役場を大字上野においていた。(村の中央部)
 南伊豫村の村名の由来は、北伊豫村(現在の愛媛県伊予郡松前町の東端部一帯)の南に接する地域であることから南伊豫村と呼ばれていた。あるいは、北伊豫村の村名の由来と同様に伊豫神社(伊予神社:松前町神崎)を中心とした「伊豫」の南側の地という意味であるのかもしれない。
 1955年(昭和30年)1月1日 隣接する郡中町(ぐんちゅう)、北山崎村(きたやまさき)、南山崎村(みなみやまさき)と合併(昭和の大合併)し、伊豫市となり、住所表示等から南伊豫村と言う名称はなくなった。
 2005年(平成17年)4月1日 伊予郡中山町(なかやま)、伊予郡双海町(ふたみ)が伊予市と合併(平成の大合併)し、新伊予市が発足し現在に至っているが、南伊予の名称は、行政において南伊予地区として用いるなど、当該地区に暮らす人々の生活や意識に現在でも定着している。