2009年8月29日土曜日

南伊予の自然環境と現状


 南伊予は、松山平野(道後平野)の南縁部に広がる北斜面のゆるやかな傾斜地で、標高4m(下三谷 四反地)から403m(行道山)の低地帯(丘陵帯)であり、原生自然(Wilderness1 : 太古の昔から人の手が入らず、遷移が進行した結果、安定的な生態系を形成している自然)の残る地域ではなく、二次的自然(Secondary Nature)である。
 古くは、米作を中心とした純農村であり、1955年(昭和30年)頃には、温州みかん等の柑橘類の栽培が盛んになり、多くの山林を開墾し、みかん畑を造り、水田や畑、水路など農業水利施設を維持管理してきた。農家や土地改良区の仕事の結果生まれた二次的自然環境あり、農業が守り育ててきたこれらの環境には、長い年月を掛けて多種多様な生物が生息するようになり、多種多様な生態系が形成された。(森林生態系、草原生態系、水田生態系、ため池・湖沼生態系、河川生態系など)人が手を加えること(人為的撹乱)で管理・維持されてきた自然環境(人工的であったが、美しい農村の風景であったと思う。)ではあったが、経済の成長と共に多く自然環境が失われ、生息していた生物もその姿を消しつつある。
 近年は、農業従事者の高齢化と農産物の価格低迷により、兼業農家が増え、耕作放棄地の拡大が進んでいる。(農用地全体の13.23 %に及んでいる。)


 耕作放棄地では、人為的撹乱(下草刈りや間伐・田畑の耕作など)が行われなくなったため、二次遷移(すでにあった群落が破壊されて裸地でき、そこから始まる遷移)が進行している。背の高い草がはびこり、落葉樹(アカメガシワ・センダン・ネムノキ等)の侵入が見られ、いずれは森になるかもしれない。「それはそれで良いのではないか。」と言う人もいる。そうかもしれない。しかし、水田や畑という特殊な土地条件が、多種多様な生態系を育んできたことも確だ。そして、美しい景観をも形成してきたのだ。人が手を加え続けることによって維持され、形成された二次的自然(人為が加わることによって、いわば遷移を止めた状態)は、放棄されると二次遷移が進み、二次的自然に特有の動植物が生息できなくなるのである。そして、すでに多くの動植物が絶滅あるいは、絶滅の危機に瀕しているのである。(シロバナタンポポ・ヘビイチゴ・キキョウ・ナデシコ・オミナエシ・フジバカマ・ホタルカズラ・シュンラン・コクラン・ジガバチソウ・ハンミョウ・クロカナブン・アオカナブン・カブトムシ・ミヤマクワガタ・ヒラタクワガタ・マイマイカブリ・ミズスマシ・ゲンジボタル・マツモムシ・モンシロチョウ・アゲハチョウ・カラスアゲハ・ツマグロヒョウモン・ルリタテハ・カタツムリ・アカハライモリ、カラスガイ・タニシ・フナ・メダカ・など等)



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